闇から光へ

飲まない生活も数年以上が経ち、日々の生活も安定していた。
経済的にも安定し、家族とも家族らしい触れ合いを持てるようになった。
お酒に溺れていたどん底の生活の記憶も、実感は薄らぐばかりだ。
AAのミーティングには、定期的に参加している。
確かに、私はアルコール依存症者だけれども、
もう今となっては、病気でない人たちと殆ど変わらないのではないかと思っていた
ある日の出来事だった。

仕事で疲れ、睡眠不足が続き、思考能力も落ちていた。
ミーティングも1週間近く出席できなかった。
ある人と打ち合わせをしていた。
もともと私にとっては、苦手で嫌な人だった。
何がきっかけだったのかわからないのだが、
突然、その人に対する憎悪が膨らんでいくのがわかった。
あわてて退席をしたが、しばらく憎悪の感情が荒れ狂っていた。
その憎悪の嵐の中で、改めて自分自身がアルコール依存症者だと思った。
相手を憎む原因は、自分の中にあることを直感的に感じていた。

2時間ほどすると、私の気持ちはとても穏やかになっていた。
いつのまにか、驕った気持ちを水面下に育てていたせいで、
そうした強い憎悪が生まれてきたように思えた。
そう思えた時、もやもやした霧は晴れ、すっきりとしたのだ。
そのある人に感謝の気持ちが湧いた。
(相変わらずその人は苦手で、嫌いなんだどね。)

雨上がりの晴天は気持ちがいい。
それ以上に、心の嵐の後の平安は素晴らしい。